遺産分割
相続人が複数人おり,遺言がなければ,遺産分割協議が必ず必要になります。
相続の発生
親族の方が亡くなると,亡くなったときに所有していた財産が遺産となり,直ちに相続が開始します。
有効な遺言がある場合は遺言に従います。
自筆の遺言書がある場合,遺言を発見した人が家庭裁判所に申立てをして検認の手続きを行います。
公正証書遺言の場合は検認は不要です。
遺言の有効性が争われる場合があります。相続人間で合意ができなければ別途裁判を起こす必要があります。
別居していて遺言があるかわからない場合
自筆証書遺言→裁判所から検認の通知が来ます!
公正証書遺言→自分で公証役場に行って検索する必要があります!
相続人の確定
戸籍を集めることで相続人の調査を行います。どの手続をするにしても相続人の確定のために戸籍が必要です。
亡くなった方の子供を確認するため,生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍を取り寄せます。
ご依頼いただいている場合,当事務所で戸籍の取得を代行できます。
特に兄弟が相続人となっている場合は取得する戸籍の数が多くなり,また,各地の役所から取り寄せる必要があるので,かなりの手間がかかります。
相続から長期間が経っており,相続人が増えている場合は,相続人を調べるだけでも相当困難な作業となります。
戸籍集めは意外と大変!
遺産の確定
遺産を調査して目録を作成します。
相続税の申告が必要な場合は申告書が作成されていることが多いでしょう。
預金は遺品のカードや通帳から,証券会社の口座は取引残高報告書など郵送物から,不動産は固定資産の通知書や台帳などから地道に調査します。
よくあるトラブルが,預金の明細に使途不明金があり,同居していた相続人の使い込みが疑われるケースです。
この場合は,被相続人(亡くなった方)から使い込みをした相続人への返還請求権が相続の対象となります。
使途不明金は協議で解決できなければ別途裁判で請求を行う必要があり,時間と手間がかかります。
調停と異なり弁護士のサポートが必須です。
事前に勝訴の見込みを十分に検討することが重要です。
また,債務(借金)も遺産になるのでご注意下さい。
目録作成は地道な作業!
遺産の評価
よく問題になるのが不動産価額の評価です。
不動産の評価は分割時の時価(市場価格)を基準とします。
相続税の申告書には路線価が記載されていますが,路線価は時価より低廉な場合が多いとされています。
不動産を取得する側は不動産価額を低く,それ以外の相続人は高く主張するのが通常であり,評価額が決まらない限り分割協議もできません。
どうしても話し合いができなければ裁判所で鑑定を行う必要があります。
株式の評価は分割時を基準とします。実際は計算の便宜上直近の特定の日などを基準日とすることがあります。
不動産評価額はもめやすい!
分割方法
上記の問題が全て解決できたならば,具体的な分割方法を決めます。
基本的には現物で分割します。不動産はA,預金はB,株式はCといったように各自が取得する財産を決めます。
おわかりの通り,遺産の価額評価が先にできていないと均等な分割はできません。
不動産の価額が大きく,他の遺産が少ないと,分割が難しくなることがあります。
不動産を処分してもよいなら売却のうえ代金を分割することもできます。
不動産を共有にすることは不可能ではありませんが,極力避けたほうが良いでしょう。
相続税が発生する場合は分割方法によって相続税の負担が変わってきますので注意が必要です。
小規模宅地等の特例や2次相続のことも検討できると良いでしょう。
合意ができれば分割方法は自由!
協議書の作成
遺産分割協議が整ったら協議書を作成します。
預金の引き出しや登記の名義変更に支障をきたさないよう注意して協議書を作成します。
協議書への捺印は実印を用いて,印鑑証明書を添付します。
調停で分割協議をした場合は調停調書が作成されます。調停調書は強制執行まで可能な効力の強い書面です。
調停でも協議がまとまらなければ,裁判所の審判という手続きで遺産分割をしてもらいます。
審判があるため,協議ができない場合でも最終的な解決が可能です。
遺産の名義変更には協議書と印鑑証明書が必要です!